この事は絶対に忘れません。
2015年1月25日 / えびすやにあるもの, 日々の話, 枕
ふとん屋になり約10年が経ちました。後を継ぐに
あたって修行を積んできた訳ではありませんので
右も左も解らず、右往左往しながらも自分が理想と
思う眠りをずっと追っかけてきました。
仕事には苦労や悩み辛い事もあります。それを吹き飛ばす様な
嬉しさや喜びがあるから続けてられるのかな?と思ったりします。
先日、感動して涙が流れる様な出来事がありました。それは
以前、とあるおばあちゃんにオーダーで枕を作らせて頂いきました。
頂いたメッセージの掲載許可を頂きましたので
以下そのまま転載します。
『お婆さんと枕』
あるところに かなり年を取ったお婆さんがおりました。
年のせいなのか何なのか寝付きが悪くなったお婆さんは、
ある日布団やさんにお願いしてお布団と共に枕も作って
もらいました。
お布団は夏には別のを使うことがありましたが
枕は一年中ずーっと使っていました。お昼寝で
別の場所で横になる時もそのもその枕を持っていきました。
そのお布団や枕を使いかけてから何年も経ったある日
年のせいでしんどくなったお婆さんは救急車のお世話になって
入院しました。 おうちの人は、付き添いをしたり、お家の
お婆さんのお部屋のお掃除をして退院を待ちました。
お婆さんの退院を待っている あるお天気の良い日、
お家の人がお婆さんのお布団や枕を干そうとした
ところ、枕が見当たりません。愛用の枕、どこへ
消えたんだろう。一生懸命思い返してみると、
ふとおもいつきました。
『そうだ!救急車。あの時枕も一緒に病院に行ったんのかも。』
お家の人は病院の救急のお部屋で看護婦さんにたずねてみました。
「枕、忘れてませんでしたか?」 看護婦さんは
「あー、覚えてます。あの枕は具合良さそうだったから えてます。
あの枕は具合良さそうだったから病院の枕じゃなく、あの枕に
しましょうね。と言って一緒に病室に行きましたよ。」
お家の人は『え、お婆さんの付き添いで何度も見ていた
はずなのに、枕も触っていたのに気づかなかったわ。』と
びっくり。 病室に行ってお婆さんの頭の下の枕をよくを見ると、
確かに! それはお婆さんの愛用の枕でした。お婆さんは自分で
枕をくいくいっと動かして、具合の良いように調整してました。
お家の人は、その様子を見てホッとして笑えて、何だか心が
あたたかくなりました。 お婆さんは愛用の枕とずっと一緒
だったんです。 亡くなるその時までずーっと。
おわり
以上、転載終わり。
そんなに大切にして頂いていたなんて知りませんでした。
その話を知った時、僕は涙がスーッと流れました。
喜んで貰える様な仕事、その人にとって良い眠りが
出来る仕事を一生懸命にしなくちゃならない。
そんな事を改めて、認識しました。これからも
コツコツと精進していきたいと思います。今までの
10年以上にこれからの10年をもっと大切に。
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